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2006年2月23日 (木)

正常プリオンタンパク質の役割

 BSEの容疑者、異常型プリオンタンパク。
 異常型になる前の正常型プリオンタンパク質は、実は何をしているのかあまり解っていない。
 最近、この謎の
正常型プリオンタンパク質(PrPc)の役割 (の一部)が解った。      

 MITのSteeleらは、
・体内で、PrPcレベルが、多能神経系前駆細胞の成熟ニューロンへの分化に関与すること、
・野生型(WT)マウスあるいはノックアウト(KO)マウス(PrPc を発現しないようにしたマウス)と比較して、PrPc 過剰発現型(OE)マウスはより多くの増殖細胞を持ってること、
を見出して、
PrPcがニューロン新生と分化に重要な役割を演じていると結論している。     

 つまり、「正常型プリオンタンパク質は、脳の神経細胞ができる時に、それに関わっているらしい」ということ。
 この成果が、BSEの正体に迫る一助になれば幸いだ。

以下は、原報のアブストラクト

Proc. Natl. Acad. Sci. USA,       10.1073

Prion protein (PrPc) positively regulates neural precursor proliferation during developmental and adult mammalian neurogenesis

Andrew D. Steele *{dagger},      Jason      G. Emsley {dagger}{ddagger}, P.           Hande Özdinler {ddagger}, Susan           Lindquist *{sect}¶, and           Jeffrey D. Macklis {ddagger}{sect}||

*Whitehead Institute for Biomedical Research, Massachusetts Institute of Technology, Cambridge, MA 02142; and {ddagger}Departments of           Neurosurgery and Neurology, Program in      Neuroscience,      Massachusetts General      Hospital-Harvard Medical School Center          for Nervous System Repair, and Harvard Stem Cell Institute,           Harvard Medical School, Boston, MA      02114
Contributed by Susan Lindquist, December 29, 2005

The misfolding of the prion protein (PrPc) is a central event in prion diseases, yet the normal function of PrPc remains unknown. PrPc has putative roles in many cellular processes including signaling, survival, adhesion, and differentiation. Given the abundance of PrPc in the developing and mature mammalian CNS, we investigated the role of PrPc in neural development and in adult neurogenesis, which occurs constitutively in the dentate gyrus (DG) of the hippocampus and in the olfactory bulb from precursors in the subventricular zone (SVZ)/rostral migratory stream. In vivo, we find that PrPc is expressed immediately adjacent to the proliferative region of the SVZ but not in mitotic cells. In vivo and in vitro studies further find that PrPc is expressed in multipotent neural precursors and mature neurons but is not detectable in glia. Loss- and gain-of-function experiments demonstrate that PrPc levels correlate with differentiation of multipotent neural precursors into mature neurons in vitro and that PrPc levels positively influence neuronal differentiation in a dose-dependent manner. PrPc also increases cellular proliferation in vivo; in the SVZ, PrPc overexpresser (OE) mice have more proliferating cells compared with wild-type (WT) or knockout (KO) mice; in the DG, PrPc OE and WT mice have more proliferating cells compared with KO mice. Our results demonstrate that PrPc plays an important role in neurogenesis and differentiation. Because the final number of neurons produced in the DG is unchanged by PrPc expression, other factors must control the ultimate fate of new neurons.

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2006年2月22日 (水)

ナノ粒子の安全性評価、OECD作業部会立上げ

【ナノ粒子の安全性評価 OECDが作業部会立ち上げ】
 経済協力開発機構(OECD)はナノ粒子の安全性評価について本格的な検討に乗り出す。 ナノ粒子の健康と環境への影響に関する作業部会を立ち上げ、ナノ粒子の定義や特性、安全性評価の方法などを検討、 08年までに国際的な合意形成を促すプログラムを作成する。今後のナノテクノロジーの産業化を明確に意図しており、 一定の方向性を打ち出せば、産業界の指針として活用されることになりそうだ。
 背景には、世界的にナノテクが次世代のキーテクノロジーとして、産業界に大きな影響を与えると見ていることがある。
①予定
・3月にナノテクの研究開発促進に向けた作業部会、4月にナノ粒子の健康と環境への影響に関する作業部会の設置を承認、発足。
・UNEP、WHO、ISOなどとも連携
・10月までに課題抽出
②日本の動き
・経産省が06年度から、ナノ粒子の特性評価(方法)の開発に乗り出す

日刊工業新聞 2月22日より

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 少し前まで、ナノ粒子、ナノテクってどう使うのよ、なんて言われてたけど、2年前くらいから、 電子材料分野では本格的な応用が広がりつつある。
 実は、化粧品分野では、かなり昔からナノ粒子が大量に使われている。安全性の確認なく。
 このナノ粒子が皮膚を通り越して体内に取り込まれる可能性は・・・・・・って指摘されて、化粧品業界は慌てている (こちらのサイトに詳しいです)。
 あと1~2年くらいで光学材料分野、複合材料分野でも、ナノ粒子を利用した製品が登場しそう。
 OECDの作業部会立上げは、こうした、時代の流れを受けての動きですねぇ。

本ブログの過去記事
http://azure-way.air-nifty.com/data/2005/10/post_108f.html

ナノテクノロジー関係は、下記サイトが参考に。

・文部科学省 ナノテクノロジー総合支援プロジェクトセンター
http://www.nanonet.go.jp/japanese/mailmag/index.html
・日経ナノビジネス
http://www.nikkei-rim.jp/nano/

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2006年2月13日 (月)

青色発光ダイオード(LED)権利を放棄

青色発光ダイオード(LED)をめぐる訴訟で、日亜化学工業(徳島県阿南市)と中村修二・ 米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授が争った特許について、同社は10日、権利を放棄すると明らかにした。
 この特許は窒化ガリウム系結晶の製造方法に関する404特許と呼ばれるもので、中村教授が同社に在職中に開発した。
 同社は訴訟を通じて「青色LED発明で、この特許の寄与率はゼロ」と主張。特許放棄について同社は「現段階で詳細はコメントできない」 (事業企画部)としている。LED製造は技術革新が進み、404特許に基づく製造方法は最近、ほとんど使われていないという。 日亜化学もこの特許に基づく製造方法を既にやめており、特許権を所有し続ける効果がないと判断したとみられる。

  (共同通信) - 2月11日1時53分更新

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2006年2月 8日 (水)

昆虫の記憶を担う脳細胞が見つかる

kakigoli 
夏遠く 凍てつく冬の カキ氷   GR DIGITAL @      21mm

Nature 439, 551 (2006)
M Heisenbergらは、 ショウジョウバエの脳中央部の中心複合体と呼ばれる領域にある扇状体に存在する神経細胞が、ハエが画像を記憶し、 それに応じた反応をするのに必要であることを明らかにした。

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ハエが、複眼で見た画像を記憶し、それに応じた行動をするって。
昆虫は、ただ、ただ、単に外部刺激に対して本能のままに行動しているのかと思ってた。
えらい高度な情報処理をしてたんやねぇ。

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大津波の痕跡

1億1千万年前、大津波の痕跡 三陸海岸で発見 2006年 2月 2日 (木) Asahi.com】
 日本にも恐竜がいた約1億1000万年前に三陸海岸を襲った大津波の痕跡を京都大の大学院生、藤野滋弘さん (堆積<たいせき>学) や前田晴良・助教授(古生物学)らのグループが岩手県田野畑村の海岸沿いにある地層で発見した。 京大の増田富士雄教授(地層学)は 「津波の確実な痕跡としては日本最古だ」と話している。 4日に京大で開かれる日本古生物学会で発表する。
 岩手県の三陸海岸沿いにみられる白亜紀の地層を調査した際、当時の水深20メートル程度の海底にあたる地層に、 異常な層が約1キロにわたって広がっているのに気づいた。
 異常層には海岸付近にある平べったい石や水深数メートルの浅い海に生息する貝やサンゴの仲間の化石などが厚さ3~10メートルも堆積。 石の規則的な配列から津波によるとみられる海水の流れが最低4往復あったこともわかった。最上部には大量の植物が炭化してできた層もあった。
 グループはこれらの証拠から、異常層は津波でできたものと結論づけた。その強い引き波で、 浅いところの石や生物が深いところまで一気に引き込まれたとみている。 植物層は津波で倒されて海までもっていかれた木が最後に沈んでできたらしい。石には1メートル程度の巨石も交じっていて、 かなり大きな津波だったと考えられる。
 津波の確実な痕跡としては、海外では北フランスで約1億5000万年前のものが知られているという。


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2006年2月 7日 (火)

アインシュタインのE = mc2

hikari
光の遅延   E-300 + ZD ED50mm Macro

Nature 438, 1096-1097 (2005)
S Rainvilleたちは、 高精度の結晶回折装置を用いたガンマ線のエネルギー測定と、 ペニングトラップと呼ばれる電場と磁場を組み合わせたトラップ装置を用いたイオンの質量変化測定とにより、 2種の異なる同位体が中性子を捕獲するときに生じる質量変化を綿密に測定した。それにより、E = mc2は0.00004%以内の誤差で正しいこと検証した。これは、 以前の検証より55倍も正確だそうだ。

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アインシュタインの有名な
質量とエネルギーの互換性を表す式 E = mc2
あらためて0.00004%以内の誤差で正しいことが検証された

でも、最近まで、その正確さが議論されていたとは、知らなかった。
こいつがわずかに不正確であったら、物理学のいろんな理論、それを応用した工学に多大な影響が出る。
少し不正確であったら、核エネルギー利用に問題が・・・・・・・・ でも、核兵器は生まれなかったかも。

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ヒトとチンパンジーの遺伝子の違い

染色体にヒト進化の根源? 慶大など発見  2006年 1月19日 (木) 】
 ヒトの23対ある染色体のうち8番染色体の中に、チンパンジーと比べて遺伝的な相違が大きい領域があることを、 慶応大の清水信義教授 (分子生物学)ら日米独などの研究グループが見つけた。脳や免疫機能に関連している遺伝子が含まれ、 ヒトの進化に関与している可能性があるという。19日付の英科学誌ネイチャーに発表する。
 ヒトとチンパンジーのゲノム(遺伝情報全体)を比べると、1.2%の相違がある。染色体ごとに見ると、 相違が多く見つかる部分がある。
 グループが8番染色体を詳しく調べたところ、染色体の片方の端に近い部分で、チンパンジーと大きく相違する領域を見つけた。 この領域での違いは平均2.1%あり、部分的には3.2%も違うところがあった。
 この領域には脳の大きさに関連する遺伝子や、免疫に関連する遺伝子が含まれている。ヒトの進化の過程で、 同領域が大きく変化したことが 「ヒトらしさ」の獲得に寄与した可能性が考えられるという。同領域には機能不明の遺伝子もあり、 今後解析を進めるという。

 

Nature   439, 331-335 (2006)

 

DNA sequence and analysis of human chromosome 8
  The International Human Genome Sequencing Consortium (IHGSC)   recently completed a sequence of the human genome1.   As part of this project, we have focused on chromosome 8.   Although some chromosomes exhibit extreme characteristics in   terms of length, gene content, repeat content and fraction   segmentally duplicated, chromosome 8 is distinctly typical in   character, being very close to the genome median in each of   these aspects. This work describes a finished sequence and gene   catalogue for the chromosome, which represents just over 5% of   the euchromatic human genome. A unique feature of the   chromosome is a vast region of approx15 megabases on distal 8p that appears        to have a strikingly high mutation rate, which has        accelerated in the hominids relative to other sequenced        mammals. This fast-evolving region contains a number of        genes related to innate immunity and the nervous system,        including loci that appear to be under positive        selection2—these include the major defensin        (DEF) gene cluster3, 4 and        MCPH15, 6, a gene that may        have contributed to the evolution of expanded brain size        in the great apes. The data from chromosome 8 should allow        a better understanding of both normal and disease biology        and genome evolution.

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Y染色体の差ゲノムより大 ヒトとチンパンジー比較 (共同通信) - 1月2日】
 チンパンジーの性を決めるY染色体のDNA塩基配列をヒトと比較したところ、違いは1・78%で、ゲノム(全遺伝情報) の違いより大きかったとする解析結果を、理化学研究所ゲノム科学総合研究センター(横浜市)など日本と韓国の国際チームがまとめた。
 1日付の米科学誌ネイチャージェネティクス(電子版)に発表した。
 Y染色体は哺乳(ほにゅう)類で雄であることを決定付ける役割を持ち、 Y染色体の遺伝情報は父から息子へと常に雄を通じて伝わる性質を持っている。
 同センターの藤山秋佐夫客員主管研究員は「Y染色体にはゲノム上で過去に起きた変化が保たれている。ヒトとチンパンジーを比べる場合、 Y染色体を見ると正確に違いが分かるのではないか」と話している。

Nature Genetics 38, 158 -       167 (2006)

The mammalian Y chromosome has unique       characteristics compared with the autosomes or X       chromosomes. Here we report the finished sequence of the       chimpanzee Y chromosome (PTRY), including 271 kb of the       Y-specific pseudoautosomal region 1 and 12.7 Mb of the       male-specific region of the Y chromosome. Greater sequence       divergence between the human Y chromosome (HSAY) and PTRY       (1.78%) than between their respective whole genomes (1.23%)       confirmed the accelerated evolutionary rate of the Y       chromosome. Each of the 19 PTRY protein-coding genes       analyzed had at least one nonsynonymous substitution, and       11 genes had higher nonsynonymous substitution rates than       synonymous ones, suggesting relaxation of selective       constraint, positive selection or both. We also identified       lineage-specific changes, including deletion of a 200-kb       fragment from the pericentromeric region of HSAY, expansion       of young Alu families in HSAY and accumulation of young L1       elements and long terminal repeat retrotransposons in PTRY.       Reconstruction of the common ancestral Y chromosome       reflects the dynamic changes in our genomes in the 5–6       million years since       speciation. 

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奴国の人骨をDNA分析

【奴国の集落、同族支配か 有力首長墓で血縁判明  2006年 1月31日 (火) 共同】
 中国の史書「魏志倭人伝」 に登場する弥生時代の奴国(なこく) の拠点集落とされる福岡県那珂川町の安徳台遺跡群から出土した人骨をDNA分析した結果、 首長集団の一部に血縁関係があったことが31日分かった。
 同町教育委員会は「集落が血のつながった一族によって支配されていた可能性が高まった」としている。 弥生時代の有力な首長墓のDNA分析は国内で初めて。国立科学博物館人類第1研究室の篠田謙一室長(分子人類学)が行った。
 九州大の中橋孝博教授(自然人類学)による人骨の形態学的調査(性別判定など)と合わせ、被葬者集団の実像解明が期待されていた。
 安徳台遺跡群は、奴国の王墓がある須玖岡本遺跡(同県春日市)に近く、王墓とほぼ同時期(紀元前1世紀ごろ)に埋葬された甕棺 (かめかん)10基が2003年に出土。人骨5体が残っており、中橋教授の調査で性別は男性4人、女性1人とほぼ判明した。

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2006年2月 2日 (木)

絶滅したと見られていた「アサクサノリ」の自生群落

『絶滅危惧種アサクサノリの自生群落、東京湾で見つかる  2006年 2月 2日 (木)  YOMIURI ONLINE』

 東京湾では絶滅したと見られていた「アサクサノリ」の自生群落が、 川崎市川崎区の多摩川河口で見つかった。
アサクサノリは、環境省と水産庁のレッドデータブックで絶滅危惧(きぐ)種に指定され、自生地は熊本、 福島県など8か所で確認されているだけだった。
 アサクサノリは、主に干潟で生育する養殖ノリの代表種。1960年ごろまで東京湾でも自生していたが、 経済成長期に進められた埋め立てで姿を消し、養殖でも、北海道原産で繁殖力旺盛なスサビノリに取って代わられた。 東京湾では千葉県富津市で96年3月に採取報告があっただけで、水産庁は90年代前半に東京湾のアサクサノリは絶滅したと見ていた。
 しかし、菊地研究員が04年2月、多摩川河口のやや上流に約300メートルにわたり広がるアシ原で、 アシの根元に長さ10~20センチのノリを発見。昨年2月、DNA鑑定でアサクサノリと判明した。

(後略)

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アサクサノリが絶滅危惧種だったとは。
しかし、生き残っていてよかった。毎日、どこかで生物種が絶えてる今。

 

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