« 仲秋の名月の団子 | トップページ | またまた、メタリックブルーのRS »

2006年10月11日 (水)

セルロース系バイオマスから、エタノール製造、って

ちょっと前の話になるけど、地球環境産業技術研究機構(RITE)と本田技術研究所(以下Honda)は、 セルロース類からエタノールを効率よく製造する技術を開発したそうです。

以下、HONDAのプレスリリースより一部引用。

================================================================================

 バイオエタノールは燃焼時に放出されるCO2が、もともと植物が光合成により取り込んだもので、大気中のCO2総量に影響を与えない為、カーボンニュートラルな燃料として、 地球温暖化対策に有効なエネルギー源として注目されている。
 しかし、現在のバイオエタノール製造は、サトウキビやとうもろこしの糖質や澱粉質など食用と同じ部分を原料としているため、 供給可能量に限りがある。
 今回の共同研究では、これまで困難とされてきた、稲藁など、食用に供さない植物の茎や葉といった、 ソフトバイオマスに含まれるセルロース類からアルコール燃料を製造する技術の基盤を確立し、実用化へ大きなステップを踏み出した。

                   中略

 そのプロセスは、以下の各工程から成り立っている。
  1)ソフトバイオマスからセルロース類を分離する前処理工程
  2)セルロース類の糖化工程
  3)微生物による糖からアルコールへの変換工程
  4)アルコールを精製する後処理工程 

既存の技術では、主にソフトバイオマスからセルロース類を分離する工程で副次的に生成される醗酵阻害物質が、 糖をアルコールに変換する微生物の働きを妨げ、エタノールの収率が極めて低くなる。これが、 ソフトバイオマスからのアルコール製造の大きな障害になっており、解決する策は今まで見出されていなかった。

                   中略

 今回、RITEの開発した糖をアルコールに変換する微生物であるRITE菌を使い、Hondaのエンジニアリング技術を活用し、 醗酵阻害物質による悪影響を大幅に減少させるRITE-Hondaプロセスの開発に成功、 従来のセルロース系バイオエタノール製造プロセスと比較してアルコール変換の効率を飛躍的に向上させることが可能となった。
 このRITE-Hondaプロセスは、バイオエタノールの大幅な増産と利用の拡大を可能とし、 持続可能なエネルギー社会の実現に向けた大きな前進となる可能性を秘めている。

                   後略

==================================================================================

補足です。

RITE菌
RITE菌は、コリネ型細菌の一種。このコリネ型細菌は、うまみ調味料の主成分グルタミン酸(昆布のだしの成分)の生産菌であって、 ある特殊な条件下で細胞分裂が阻害された時だけグルタミン酸を生産する。
元々、このコリネ型細菌はエタノールを生成しないが、RITEはメキシコの強いお酒「テキーラ」を作る際に使う微生物から遺伝子を取り出し、 遺伝子組み換え技術を用いることでエタノールを生成できる「有用RITE菌」を開発した。

RITEプロセス
RITE微生物研究グループでは、コリネ型細菌が細胞複製抑制条件下で主要代謝系は維持する現象を見出し、 この機能を応用した新規バイオプロセスの開発を行ってきた。RITE菌は嫌気的条件下において生育を停止するが、 糖類からのエネルギー生成系の活性は維持する。さらに糖類から炭素数3 の化合物を生成し、菌体外の二酸化炭素を組み込んで炭素数4 の有機酸等を生成する。
この特徴を利用した新規バイオコンバージョン技術は、増殖のための空間を必要とせず、菌体濃度が高い条件にて物質生成が出来るため、 単位容積、単位時間当たりで高い生産性が得られる。さらに、増殖によるエネルギー消費が無いことから、 糖類から有機酸を高効率で生成できるなどの利点を有している。
つまり、本プロセスは細胞の増殖を抑制しているため高密な菌体をリアクターに充填でき極めて高い生産性(STY) と副生成物を低く抑えることが可能である。

醗酵阻害物質
セルロース類を分離する前処理工程で、糖類以外にも、糖の過分解物であるフルフラールなどのフラン化合物、 バニリンなどのベンゼン環を有するリグニン由来のフェノール性化合物など、様々な化合物が生成する。これらの物質はわずかしか存在しないが、 エタノール発酵のプロセスにおいては、微生物に対して発酵阻害物質として働く。

==================================================================================

つまりは、この新技術、糖類から高効率でエタノールを製造する技術をもっていたけど醗酵阻害物質で困っていたRITEに、 本田技研が手を貸して醗酵阻害物質を除く技術を開発し、セルロースを原料にエタノールを作れるようになった、ということですね。

植物バイオマスの2/3を占めるセルロースを原料にできるようになったことは、すばらしいことです。

日本のエネルギー事情からも、早く実用化してほしいですねぇ。

 

参考
http://www.rite.or.jp/Japanese/labo/biseibutsu/04/04-3/04-3.html
http://www.rite.or.jp/Japanese/H15seikahoukoku/15jigyou/15koshisum.pdf#search=%22RITE%E8%8F%8C%22
http://energy.coe21.kyoto-u.ac.jp/task-bio/b02.html
http://www.aist.go.jp/aist_j/aistinfo/aist_today/vol06_03/special/p06.html

|

« 仲秋の名月の団子 | トップページ | またまた、メタリックブルーのRS »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/104553/12233338

この記事へのトラックバック一覧です: セルロース系バイオマスから、エタノール製造、って:

« 仲秋の名月の団子 | トップページ | またまた、メタリックブルーのRS »